※記載されているプロフィールは取材時のものです。

先生が答える WK相談室

親の英語力に関する悩みについて(John E. Plagens先生)


今回はおうちのかたの「英語に自信がない」「英語だけで会話をするのは無理」といった悩みについて、英語監修のJohn E. Plagens先生にお話を伺いました。



(会員のかたからの質問)
・親が単語をつなぎ合わせたカタコトの英語しか話せません。日本語や英語がごちゃまぜな会話でも良いのでしょうか?
・文法等が誤った英語で話しかけても大丈夫でしょうか?



john E. Plagens先生John E. Plagens先生

WK英語監修。ルーテル学院大学教授。新潟大学歯学部大学院非常勤講師。専門分野は英語教育(The Teaching of English as a Second Language)。全国語学教育会(JALT)会員。著書に「ジャンさんの"英語の頭"をつくる本」(インターメディカル)。長年日本で教鞭をとり、現在も大学院生から幼稚園児まで英語を教えている。


親が一生懸命英語を使おうとすることはとても良いことです。

監修のJohn E. Plagens先生

WK英語監修のJohn E. Plagens先生

親が一生懸命英語を使おうとしていて、「英語は自然なこと」「子どもだけではなく、みんなで楽しくやろう」という姿勢でいることはとても良いことです。会話は文章でなくても、通じれば良いものです。言いたいことだけを考えて、楽しく使ってください。


英語だけにしないとだめというプレッシャーはかけないでください。

単語だけだったり、カタコトの英語だったりしても、大きな問題はありません。「英語だけにしないとだめ」というプレッシャーを、親自身にも、そしてお子さんにもかけないようにしましょう。おうちのかたが気楽に英語を使えば、お子さんも気楽に英語を使おうとしますよ。

文法もそんなに気にすることはありません。ネイティブスピーカーのおとなでも子どもでも文法は間違えますよ。子どもは文法を意識せずに、「こういえば通じるかな」と考えて、どんどんことばを使います。そして使ってみて通じなければ、いろいろな言いかたで試してみます。ひとりごともよく言いますね。その経験の積み重ねが大切です。


「英語は楽しい」と、半分遊び感覚でやっていれば、「英語だけにしなくてはだめ」というプレッシャーは、親子ともになくなります。知っている単語だけでもプラスになりますよ。そして英語はすごいものだとか大げさにはしないでください。英語が珍しくないもの、自然なものになれば、照れたりしないで使えるようになります。

間違いを指摘する必要はありません

親が英語を間違えたとしても、子どもは聞き流します。あとでまた、DVDやCD、CD-ROMで聞けば良いことですから気にしないでください。そのうち、子どもが逆に親の英語を直すようになるかもしれませんが、それは笑い話として良いでしょう。

逆に、お子さんの間違いに気がついても、「だめ」「間違い」と言うことはありません。特に発音は直さないでください。世界で使われている英語には、イギリス英語、アメリカ英語、フィリピン英語...といろいろな発音があり、気にすることはありません。

私は保育園で4・5歳児に英語を教えていますが、子どもの間違いに対して「それは間違い」と指摘することはありません。「それは○○のことですか?」と確認することはありますが、子どもたちが楽しければ良いと考えています。

文法は自分で違いに気づくまで、説明しないで良いでしょう。

No.11 Stage 3 Level 1 " Things in the morning"
歌を通して、単語から文を作る練習もできます。

文法は子どもの場合、感覚でわかるものなので、説明しないで良いものです。

It is big.
It is a big box.

この例の場合、上の文と下の文で、何がちがうか、子どもが自分で発見することがポイントです。自分でちがいに気づいて、自然に感覚で文法は習得していくものなのです。ですから、「ちがいに気づくようになる」「読めるようになる」ころまで、文法を直したり説明したりしないで良いと私は考えています。

ただ、英語が読めなくても、ちがいをみつける遊びは考えられます。「"one box"と"two boxes"のちがいは何かな?」という具合にです。子どもの気づきに対して、「sがついたね」「ちょっと違うね」と楽しむのです。ここで、どういうときにこうなるか文法を説明したり、違う問題をしつこく出したりはしないでください。感覚で気づくことを大事にしてください。

Stage 4 Active Card Reade"
単数と複数の違いに気づくきっかけをカード遊びで作ることができます。

歌・音楽からリズムや文のパターンをつかむのが、WKをやっているお子さんにはおすすめです。アメリカにいる私の姪が1歳半のころ、ことばではわけのわからない音ですが、リズムの上げ下げだけは英語になっている声をよく出していました。英語のリズムを真似しているうちに、それがだんだん単語になって、ことばになっていく...そうして英語を習得していくのを目の当たりにしました。ですから、まずはWKで音真似から一緒に楽しんでみてください。

ことば遊びやユーモアが、子どもは大好きです!

保育園で子どもたちが喜んだことば遊びやユーモアのある会話などを紹介しましょう。


キリン

No.7 Stage 2 Level 1"Animals"
キリンの色は?

The giraffe is blue. "キリンは青いです。
→子どもたちは、「ええーっ?」「ちがうよー」とすぐにまちがいに気づきます。

"How old are you?" 何歳ですか?
"I'm ten." わたしは10歳です。
→年齢を私が聞いたら、ある4歳の子どもがこう言いました。みんな、げらげら笑いました。わざと間違えるのはユーモアのある遊びです。


保育園のクラスでは、特に男の子がふざけたりすることもあります(女の子はまじめなことが多いですね)が、英語を楽しんでいればよいのです。"My name is... ."という文を、「マヨネーズ ゆうた!」と言ってきた子どもがいました。私は"Mayonnaise? Ketchup? Mustard? (マヨネーズ?ケチャップ?マスタード?)"とかえしました。みんな大喜びです。こういうユーモアが、子どもたちは大好きです。

このときに、日本語は一切使っていません。月1回30分教えているだけでも、前に使ったことばをくり返して楽しむことで、子どもたちは英語がわかるようになっていくんです。驚きますよ。

日本語で質問されても、私は英語で答えていますが、子どもたちはそれが変だとは思っていませんね。 おうちのかたもユーモアをもって、英語を楽しんでみてください。