※記載されているプロフィールは取材時のものです。
(会員のかたからの質問)
Q. 子どもの歌の発音が違う時は、正しく直すべきですか?
(3歳9ヵ月女の子のおうちのかた)
チャイルド・ラボ所長。専門分野は視聴覚教育メディアの設計と子ども向け映像コンテンツの開発、および認知の発達支援。
ドイツ留学経験のある息子さんの母!
監修の沢井佳子先生がお答えします。
A. イントネーションをとらえているのであれば、細かく直さなくても良いでしょう。
3歳ぐらいですと、日本語でもうまく言えないことばや発音しにくい音があると思います。聞いてわかっているのに、発話するときに違っているということは多々ありますね。これは「聞き分ける力」と「言い分ける力」が違うからなのです。
お子さまが歌っているということは、歌が頭に響いて入っている状態、つまり聞き分けているということです。
歌いかたで気になるところがあったら、おうちのかたが一緒に歌ったり、歌を聞かせたりするのは自然なことですね。でもお子さまが強調して聞いている(歌っている)部分が、アクセントやイントネーションの特徴をとらえているのであれば、それはとても好ましいことです。無理に矯正する必要はないと、私は考えます。
なぜなら、ことばは発音よりも、イントネーションが優位なのです。
幼児期は、イントネーション(抑揚)をとらえることがとても大切で、全体が文のまとまりらしければ良いとお考えください。イントネーションは大人になってからでは直しにくいので、後で役に立ちます。
発音は、後で文字と対応させて理解していく段階になったときに、「こう発音するのだ」とわかるようになりますので、イントネーションを捉えることを優先にお子さまと歌をお楽しみくださいね。
「音」や「ことばの成り立ち」が苦手なようで、一つ一つのフォニックスから「読む」ことへの発展ができません。「読む」ことをどう与えていったらよいのか迷っています。
(3歳9ヵ月女子のおうちのかた)
監修の沢井佳子先生がお答えします。
A. 幼児期は極めて音声に特化して良い時期です。読みは急がなくてもよいでしょう。
幼児は聞いたことを、おうむ返しでもパッと言える力に優れていて、極めて音声に特化して良い時期です。読み書き以前に音声言語習得は大切です。字を読むことを急ぎ過ぎると、自分の話したいことを自由に話すという、口頭の作文の力をそぐことになりかねません。
人の話をよく聞いて、それをまねしてしゃべり、自分なりに加工してお話を続ける、という口頭作文の力を、幼児期には遊びの中で充分に伸ばしたいものです
英語のつづりは、日本語のかな学習より難しいものです。
たとえば日本語では、「きつね」は、「き/つ/ね」と3つの音節に分かれ(音節分解)、それぞれの音節にひらがな1文字の音をあてはめれば読めるのだ、と規則を単純に覚えられます。一方英語では、きつねを表す"fox"は、1音節なのに3文字が使われています。アルファベット1つで1つの読みが、音節を作るわけではありません。ほかにも"knock"(1音節)のように、1音節で5文字、しかも"k"の部分は発音しない、といった、不規則で読みにくいことばが英語には多くあります。日本では4~5歳くらいから日本語の文字を子どもが読めるようになりますが、英語圏では8歳くらいまで英語をすべて自力で読むことができないといわれるくらい、英語のほうが読みにくいのです(個人差はありますが。)
ですから、読みは7歳まで待っても遅くないといっても過言ではありません。文字の読みを急ぎすぎると、英語を丸ごと受け取って表現を楽しむ幼児期のメリットを、かえって活かせないかもしれないからです。フォニックスをお子さまが楽しんでいらっしゃる今、音声のまねっこ遊びを中心に興味を広げていってくださいね。