※記載されているプロフィールは取材時のものです。

先生が答える WK相談室

年齢別の発達段階とWorldwide kids活用方法(沢井先生)

会員の皆さまからは、年齢別の活用シーンについてご質問を多くいただきます。今回は会員アンケートでご回答いただいた結果をもとに、それぞれのお子さま方の年齢別の教材活用の事例から、沢井先生に発達的な特徴の解釈や、おうちのかたの関わり方についてお話をうかがいました。


沢井先生沢井佳子先生

チャイルド・ラボ所長。専門分野は視聴覚教育メディアの設計と子ども向け映像コンテンツの開発、および認知の発達支援。
ドイツ留学経験のある息子さんの母!



1歳代のお子さまの様子


「Phonicsはいつもじーっと見ています。"m, m, m...."などわかっているのかどうかわかりませんが、
音を一緒に発しています」

(1歳10カ月・女の子・DVD)


(沢井先生)
DVDなどの動く映像をじーっと見るのは、1歳児の特徴です。2歳を過ぎると、キョロキョロと他に視線を移すようになるのですが、1歳台では、興味ある映像の画面を凝視して、他の行動をストップさせることが多いのです。そんなとき、おうちのかたが映像に合わせて一緒に発話したり、音まねしたりする手本を示せば、「ここでまねするんだ!」とお子さまが理解し、まねをするきっかけになります。お子さまにしてほしい行動は、おうちのかたがまず、モデルを示してあげるようにしましょう。




「好き嫌いが出てきたようです。以前は最初から最後までDVDをじっと見ていましたが、15分くらいで飽きるのか最近は別のことをし始めるようになってきました」

(1歳7カ月・女の子・DVD)




「好きなものが増えてきました。2週間前くらいから自己主張もし始めて、自分で『これが見たい』『これは嫌い』といった発言が出てくるようになりました」

(1歳11カ月・女の子・教材全体)


(沢井先生)
実は「好き嫌い」は0歳代からずっとありますが、それが行動に表れてくるのがこの時期です。お子さまがDVDなど好きなコーナーを選択的に見るようになるのはごく自然なことなのです。
また「飽きる」という行動は、話のまとまりをある程度学習した成果の現れであるとも言えます。同時に、DVDの中でも一部4歳から6歳向けに作っているコーナーもあるので、2歳以前では、当然難しくて関心を持たない部分もあるでしょう。しかし、お子さまの発達が進めば、反復視聴をするうちに、理解できる範囲も広がり、言語的、社会的に難しかった事柄にも関心を持つようになるので心配ありません。注意の山や谷があっても、お子さまのペースで長い目で活用していくといいでしょう。



★2歳代のお子さまの様子






「先月は組み立てることに熱中していたのですが、最近はお買い物に興味があるせいか、Stage 1のフルーツの入っていたバスケットにNaef Spielを入れて買い物ごっこをしています。
3までは理解しているようで、"Three blocks, please."とお願いすると、ピッとバーコードを読んだまねをして、青のブロックを3つバスケットに入れたりしています。」

(2歳10カ月・男の子・ネフシュピール)


(沢井先生)
2~3歳にかけては頭の中の表象能力(物事のイメージを描く力)が高くなります。最初はただの積み木でしかなかったものが、バナナやパイナップルなどに見立てることができたり、買い物ごっこに展開できたりすることは、認知発達においても、言語発達においても欠かせない段階です。ぜひお子さまのイメージをふくらませながら、やりとりのごっこ遊びをたくさん楽しみ、想像の世界を広げてあげてください。









「ずっと単語だけの発語だったのが、最近になって文章が言えるようになってきました。それも少し前までは"How are you?"などをやみくもに連発していたのですが、ここ1~2週間でぬいぐるみや小物などを使って"What's your name?""I'm ○○!"などちゃんとした会話をひとりでやりとり(独り芝居?)するようになっていて驚きました。ちなみに○○には、ぬいぐるみの名前はもちろん「歯ブラシ」「お水」なども入っています。"I'm 歯ブラシー!"のように。子どもの学習能力には本当に驚かされますね。」

(2歳6カ月・女の子・教材全体)


(沢井先生)
お子さまは最初、反響語(オウム返し)のように単純に聞いたままをまねします。そのうち、状況を理解してのやり取りが生まれ、場面に合わせて言葉を変えていくことができるようになります。それは社会的認知の発達過程なのです。教材の中の会話のシチュエーションの他に、おうちのかたが、いろいろな場面でたくさん話しかけてやりとりを広げてあげれば、お子さまの言葉の意味の学習や、社会的な会話ルールの理解は、どんどん豊かになると思います。



★3歳代のお子さまの様子





「単語だけだったのが、文になった。自分で意味のあることを、単語から文で伝えるようになってきた。リピートしているのではなく、場面に合うように言えるようになっていった。 例)子"Which one do you like?"→母が子どもの選びたいものを選ぼうとすると、"No! This is mine!"など」

(3歳3カ月・男の子・教材全体)


(沢井先生)
場面を理解して、自己主張や相手を誘導するために言葉を使えている例ですね。とても能動的な言葉の使い方であるといえます。意味のレベルで言葉をきちんと理解しているからこそできるやりとりです。自分の思うようにいかない時に、泣いたり怒ったりするのでなく、言語できちんと伝えられているというのは、大きな成長だと思います。おうちのかたもやりとりの際に、いつも同じ答えではなく、時にわざと違ったことを言ってみるなどしてお子さまの反応を確認してみてはいかがでしょう。






「自分とママのサンドイッチを作ってくれるのですが、なぜか息子のサンドイッチが毎回大きく、"Big! Big!"と言って喜んでいます。着せ替え人形も楽しく遊んでいます。男の子も着せ替え人形を楽しく遊べるとは驚きでした。」

(3歳3カ月・男の子・Food & Clothing)


(沢井先生)
形容詞を理解して使えるようになっていますね。Big(大きい)ということばが、物の名前のようなものではなく、何かと何かを比較するときに、相対的に使われるものだということもわかっているようです。たとえば、A,B,C、3つのケーキがあるけれど、大きさはA<B<Cという関係だとします。そのとき、Bは、Aに対しては大きいけれど、Cに対しては小さい、ということにります。つまりBは、比較する相手によって「Big」であったり、「Small」であったりするわけです。こうした理解は論理的概念の基礎となります。別コーナーや、Stage 3で出てくる形容詞と組み合わせながら、長い・短い、重い・軽い等々さまざまな概念の理解につながるようなごっこ遊びを広げてあげてください。



★4歳代のお子さまの様子


「数字を1から20まで歌いながら覚えられるコーナーがとても気に入っているようで、見始めて2週間ぐらいする頃には英語で20まで数えられるようになりました。英語の理解とともに日本語の理解もよくなるのもわかります。」

(4歳1カ月・男の子・DVD)




「DVDを見ながら一緒の数字をカウントしたり、歌を歌ったりしています。普段の生活で突然1から20まで英語でカウントしたのには驚きました。」

(4歳0カ月・女の子・DVD)


(沢井先生)
4歳になると、数や論理への関心が高まります。DVDをきっかけに数唱(数の名前を1から順に数えること)ができるようになったら、ネフシュピールなどを使って、今度は数の保存と集合数(例:7個のものは、どのように並べ替えても個数は変わらず、7個であること)や、多少判断(例:並べ方や大きさに惑わされずに、たとえば6個のネフシュピール積み木と7個のキャンディーの多少比較ができること。積み木1個にキャンディー1個をを対にして並べ、ペアにならない余りがでる方が多いと判断できること)、順序数(例:前から何番目などの、順番がわかること)などの数の概念を学ぶ遊びに発展させてみましょう。