※記載されているプロフィールは取材時のものです。
(会員の方からの質問)
いずれ子どもにも留学を、とまだ先のことですが考えています。時期や国選び、そのための準備など、お子さんの留学経験から、アドバイスお願いします。
チャイルド・ラボ所長。専門分野は視聴覚教育メディアの設計と子ども向け映像コンテンツの開発、および認知の発達支援。ドイツ留学経験のある息子さんの母!
ドイツのウルム市街。
ウルムから60kmほど離れた学校に留学していました。
ディンケンスビュール。
留学先を訪ねて家族旅行をしました。
息子は、高校生のときに1年間ドイツに留学しました。留学先の学校は、ドイツの閑静で安全な田舎にありました。また、日本人の先生もいらしたので、その点安心して送り出すことができました。都会と違い、地域の人々の時間の過ごし方も話し方もゆったりとしていて、子どもがつたないドイツ語で話しかけても、地元のかたがたがじっくり相手をしてくださいます。そうした環境で、息子はお買い物や日常生活で最低限必要なドイツ語は、自然に身につけてしまいました。
息子がドイツに滞在して半年ほどたったころ、私は夫と共にドイツを訪ね、ミュンヘン中心部のホテルで息子と待ち合わせをしたのですが、息子は遠い田舎の町から電車を乗り継いで、都会のホテルへたどりつくことができました。おそらく、いろいろなドイツのかたがたのお世話になったはずですが、異国の人とやりとりをする力を、知らぬまに息子は伸ばしていたのだなぁと、感慨深く思いました。また、ドイツ語を通じて、英語の起源などことばの歴史に関心をもったようです。
高校で学ぶ英語は、必ずしも得意ではなかった息子ですが、ドイツで暮らしたことで外国のことばや文化、そしてその起源について関心を深めたことは今後の教養の核になるかもしれない、と期待しているところです。
学校のサマーキャンプで行った
オーストリア・ザルツブルグ。
ミュンヘンのドイツ博物館。飛行機も
ヘリコプターも全部本物。
「さすが技術の国だな」と思いました。
息子は5歳から能の稽古を続け、能に
出演した経験がありますので、ドイツ
滞在中の日本文化紹介行事では、袴を
自分で着付けて、能「安宅(あたか)」と
「猩々(しょうじょう)」の仕舞(しまい)を、
ドイツのかたがたに披露しました。
留学の時期は、いつがふさわしいかは一概に言えることではないでしょう。18歳以上の大学生の時期であっても、若くみずみずしい感性で学びとることができますから、自らの力で異文化の懐に飛び込んでいけば、豊かな経験を得られるはずです。
ただ、受け入れ先の人たちが、子どもたちを、「子ども」として見守ってくださる年齢段階の方が有利であるように思います。つまり18歳をこえると、大人扱いになり、周囲の大人は現地の文化に適応するための、生活の指導をしたり忠告したり、といった世話焼きをしてくださらなくなるからです。
ただし、親と離れて暮らすのですから、孤独に耐えて自分のことを自分でできる年齢段階以上でなければ、留学は難しいと思います。