※記載されているプロフィールは取材時のものです。

先生が答える WK相談室

DVDの繰り返し視聴について (沢井先生)

(会員のかたからの質問)
"Worldwide Field Trips"になると、毎回と言っていいほど早送りを催促されます。逆に気に入ったところ(Stage 2の"S"の部分とか)はもう1回もう1回と何度も繰り返し見たがっています。見たくないところは飛ばし、見たがるところは何度も見せるといった方法でもいいですか?
"Worldwide Field Trips"のナレーションを子どもの声か子どもに語りかけるような感じの声だったらもっと見るのかなと思うのですが、今のようにしている理由があるのでしょうか。


沢井先生沢井佳子先生

チャイルド・ラボ所長。専門分野は視聴覚教育メディアの設計と子ども向け映像コンテンツの開発、および認知の発達支援。ドイツ留学経験のある息子さんの母!

映像の好みの変化は、年齢段階によって移り変わります。

監修の沢井先生

監修の沢井先生

生まれて間もない赤ちゃんにも、じっとよく見つめるものとそうではないものとがあり、映像の好みは、生まれつき備わった能力の影響を受けていることが確かめられています。しかし、そうした好みや関心も、年齢や性別に応じて、変化してゆきます。

2歳頃までは身近な食べ物や動物、乗り物などの絵本や映像が大好きですが、3歳を過ぎて、お友だちとのやりとりが増え、物事をイメージする「表象能力」の発達が進むと、外の世界への好奇心が豊かに芽生えて、社会や自然のふしぎに気づいて「なぜ?どうして?」と行動的に問うようになります。

まわりのおとなのかたやお友だちに働きかけながら、身近ではない内容の映像についても、単なる好き嫌いを超えて、積極的に学ぶ姿勢が生まれるのです。ごっこ遊びなど、イメージや知識を使う遊びが、豊かに発展するのも3歳ごろからです。

DVD視聴の態度も移り変わります。

小さな子どもとメディア



沢井先生が関係されたBenesse次世代育成研究所

「小さな子どもとメディア」サイト


0~6歳の年齢ごとの発達についてさらにくわしく

情報が掲載されています。

DVD映像の視聴のしかたにも、年齢段階ごとの違いがみられます。2歳未満の時期、とりわけ1歳代のお子さまは、幼児むけの映像をじいっと凝視することが多く、眼球を動かして、視線を他に移すことが少ないのが特徴です。2歳を過ぎたころから、好みの場面を選んで画面を注視し、そうでないときはよそ見をしたり、ときどきしか画面を見ない、といった行動の区別が生まれます。おそらく、2歳以降に、眼球の動きを自在にコントロールする神経の発達や自分好みの刺激を選択する認知能力が、飛躍的に伸びてくるためであろうと思われます。

2歳代以前のお子さまは、DVD視聴後に、「もう一度見たい」と反復視聴を要求したり、「この場面だけ出して!」と特定の場面の連続視聴を要求することが多々あります。ある場面を反復するために、関心の薄い場面の映像を早送りにして欲しいという要求もしばしばあることです。ある意味、「長いDVD映像のつながりの、部分と部分の順番についてしっかりとした記憶があるから、こうした早送り要求になる」と解釈できるかもしれません。こうしたお子さまの要求も、映像の規則をよみとって記憶するという、認知発達のあらわれといえるでしょう。

しかし、1歳代のお子さまのように、画面の凝視時間が長い場合の長時間視聴は、視覚や認知に問題がありますから、一度DVDを視聴したら他の身体的な遊びに誘って、視聴の休み時間を入れたほうが望ましいのです。

2歳以降のお子さまで、言語的なやりとりが充分に可能な場合は、「じゃあ、もう1回だけ一緒に見ましょう。それが終わったら、○○ちゃんの好きな何々遊びをしようね」と約束をして、他の楽しい活動へと促すことをおすすめします。おうちのかたが、MimiやZiziなどのパペットを操り、「Mimiと約束しよう!」という演出をするとお子さまが納得しやすいでしょう。

しかし、こうした反復視聴の要求も、3歳以降、とくに4歳を超えて、年齢段階が上がってゆくにつれ少なくなります。つまり、同じ画面やDVDを反復視聴したいという要求がなくなってくるのです。映像を一度視聴しただけで、その内容をとらえる力が徐々に発達し、一度に学習する記憶の量(短期記憶の範囲)がふえてゆくためだろうと思われます。

ですから、「繰り返し見たい!」というお子さまの要求に悩まされることは、3歳以降はあまりないと、お考えいただいてよろしいでしょう。

ワールドワイドキッズの映像と音声の内容が多様である理由。

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Stage 5では世界のお祭りが
"Worldwide Field Trips"コーナーに登場します!

Basic DVDでは、何年間も楽しんでいただけるよう、幼少期から就学期ころまでの年齢のお子さまがさまざまな発達段階において、関心を抱く内容を多様に盛り込んでいます。たとえば、"Worldwide Field Trips"コーナーは、異文化圏の国での社会見学をとおして、身近な社会とは異なる環境を見聞し、新しい知識を身につけながら英語にふれることをねらいとしています。


たとえ、今は集中して見ていないコーナーであっても、数か月、1年経ったときには、そのコーナーへの関心が生まれる可能性があるのです。そうやってある映像や音声に何度も立ち戻って、異文化の映像になじんでゆくに従って、英語の言葉の意味するところが、自然に理解されるようになるのです。


また、ナレーションについても、DVD一本を通して、すべて同じような語り口調にするのではなく、あえて、キャラクターの声や子どもの声とは異なった、おとなの男性ナレーターによる、ナチュラルスピードでのナレーションを採用しています。実生活に即した、自然な口調の英語に親しめるように配慮しました。

こうした長いスピーチの内容に関心を抱くのは、5歳近くにならないと難しいかもしれません。

が、言葉の発達が進むにつれて、ドキュメンタリー風の映像に添えられた言葉への関心は深くなってゆくはずです。今のお子さまの視聴のしかたに、ムラがあったとしても焦らずに、お子さまのこれからの発達の変化に合わせて、多様な映像と音声を長く楽しんでいただけましたら幸いです。

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